DML Lecture in 足立研バーチャル夏合宿2021

足立研バーチャル夏合宿2021におけるシステム同定研究会・DML研究会共催のセッションでDML研究会のメンバーが講演しました.

プログラム

13:00~14:00
「強化学習を用いたレトロフィット制御系の自動調整法」
講師
川口 貴弘 助教(群馬大学)
講演概要
ネットワーク系に対する分散制御器の分散設計法としてレトロフィット制御理論が提案されている.レトロフィット制御器は系の部分的な情報を用いた整流器と,内部制御器のカスケード接続の構造をもち,その性能は内部制御器の設計に依存する.本研究では,レトロフィット制御器の内部制御器の設計に強化学習を用いる方法を提案する.提案法を強化学習の基礎と併せて解説する.
 
14:10~15:10
「機械学習で加速するシステム同定」
講師
丸田 一郎 准教授(京都大学)
講演概要
状態空間モデルに基づくシステム同定においては,部分空間同定法で初期モデルを求めたのちに,勾配法などによる予測誤差の最小化,すなわち予測誤差法で最終的なモデルを得る手順をとることが一般的である.予測誤差がモデルパラメータの多峰性の非凸関数であり,その最小化が良好な初期解を必要とすることが,前段として部分空間同定法を用いる理由であるが,後段の予測誤差法が広範なシステムを扱えるのに対し,前段の部分空間同定法は線形系を前提とした方法であり,これが非線形系への拡張を困難にしている.講演者はこの問題に関して,部分空間同定法の非線形系への拡張と予測誤差法の改良の2つのアプローチで機械学習分野由来の方法を導入する研究を行っている.本講演ではこれらの研究成果について紹介する.
 
15:20~16:20
「モデルの最小次数を定める部分空間閉ループ同定法の提案」
講師
杉江 俊治 特任教授(大阪大学)
講演概要
多くのシステム同定手法においては、モデルの次数を既知と仮定して議論するが、現実には、次数を適切に定めることが難しい。また、システム同定では、観測ノイズの性質(カラードノイズを生成するフィルタの分子、分母の次数や係数)を正確にとらえることが一般に重要となる。しかし、これも現実には、この性質を特定することは容易ではない。そこで、本講演では、観測ノイズの構造に依存せずに、モデルの最小次数を系統的にさだめることのできる、新しい同定手法を提案する。具体的には、部分空間法の枠組みにおいて、射影によるデータの圧縮とランク最小化(正確には核ノルム最小化)を用いることにより、これを実現するものである。豊富な数値例により、その有効性を例証する。
 
16:20~16:30 まとめ
足立 修一 教授(慶應義塾大学)